
一般社団法人甲府青年会議所
第71代理事長
輿石 義章

百打一音
〜想いをひとつに響かせよう、まちを動かす青年の鼓動〜
百人の手で打ち鳴らす音を一つに重ねたとき、その音は大きく、遠くに鳴り響きます。
もし、人の想いを重ねて誰かの心に響かせることができれば、その想いは誰かに届き、そして人から人へと伝播していきます。
一人より二人、二人より三人と、志をともにする仲間を増やし、同じ方向に進んで行くその先に、私たちの目指す「山の都」の姿があるはずです。
2020年初頭に、国内で始まった新型コロナウイルスの感染拡大は、社会や私たちの生活にもあったように、一般社団法人甲府青年会議所の活動に対しても、大きな影響を及ぼしました。様々な制限の中において、リスクや社会への影響を一つひとつ吟味しながら、手探りで進む日々が続きました。しかし、私たちは決して止まることなく歩みを進めてきました。青年の価値は、その行動力の中にあるべきであり、目指す「明るい豊かな社会」は、変わらず私たちの運動展開の先にあると、そう信じてきたからです。
この地域には、これまで山積してきた様々な課題が依然あり、また、コロナ禍で鮮明になってきた課題も存在します。私たちは、その全てに対し無関心ではいけません。先人たちがそうであったように、このまちの今を明確に捉え、課題解決に向けた行動を起こし、次代へとつないでいく必要があります。
コロナ禍で様々なことが停滞したこの時代だからこそ、青年の行動力で様々な課題にぶつかっていくことに、より一層の価値があるのです。そして、この「山の都」をより良くしていくために、「明るい豊かな社会」の実現を目指し、今こそ一丸となって多くの困難を乗り越え、その姿勢を示していくことで、私たちの想いや情熱を地域へと伝えることができ、郷土を想い、郷土のために活動する人々をさらに増やしていくことができます。
百打一音、束ねた音を高らかに響かせ、返るこだまをさらに重ね、この「山の都」に郷土愛と情熱を響き渡らせる。私たちには、この時代に生きる青年の力を結集し、一丸となって運動を展開しながら、さらに先へとつなげていく責務があります。
【シチズンシップ醸成委員会】
2021年に全線開通した中部横断自動車道、2027年から開業予定のリニア中央新幹線など、現在進展している周辺地域との接続は、「山の都」に新たな可能性をもたらすことが予想されます。この可能性を「可能性が存在した時期があった」という形で終わらせないためにも、機会を逸することなく活かさなければなりません。そして、時間的・心理的な距離が変わる中でまちづくりをどのようにしていくべきであるか、他の地域とどのように関わり未来を描いていくかについては、行政だけに任せるのではなく、私たち市民、特に青年世代が真剣に考え、実行に移していくことが重要です。
私たち青年世代は、今、この「山の都」で住み暮らし、働き、子育てや地域活動などに取り組む立場であります。また、10年後、20年後の「山の都」の政治や経済活動における主軸を担うべき身でもあります。私たちが、この地域にどのような機会や課題が存在しているのかをより深く把握し、当事者意識を持って課題解決の方法を真剣に考え、未来のために行動に移していくことで、より良い方向へと向かうよう導いていくことができるはずです。また、地域を知ること、実際に行動を起こすことを通じて、地域への愛着をさらに深めていくことができると考えます。
青年たちの愛郷心を育み、志の高い青年が積極的にまちづくりに携わる気運を醸成することで、活気に満ちた「山の都」の実現につなげます。
【会員拡大育成委員会】
青年会議所の会員は40歳で卒業を迎えます。この組織が歩みを止めずに活動していくためには、新たな仲間を増やし続けなければなりません。また、多くの同志を増やすことで私たちの活動はより力強くなり、より地域のために、仲間のために運動を波及させることができるようになります。
私たちが様々な機会を通じて知り合う青年経済人は皆、会員拡大の候補者であると言えます。そして、実際にJCの同志となっていただくためには、会員が入会候補者に気概を持って積極的にアプローチをすることが必要です。会員拡大の気概を高め、維持するためには候補者情報や成果の共有が欠かせません。定期的に顔を合わせ、会員拡大への意識付けの場を設けることで、組織のさらなる発展を促進できると考えます。
また、ただ会員を増やすだけではなく、新入会員には、この地域や今後の青年会議所を担う人財となっていただく必要があります。ともに活動する機会を設けていくことで、情熱を持って活動するJAYCEEとなるよう育成していきます。
【広報メディア委員会】
一般社団法人甲府青年会議所は、設立から現在に至るまで、地域のため、誰かのためになるよう事業を計画立案し、実行してきました。これまでに多くの事業が誕生し、成果を残してきましたが、それらを一般社団法人甲府青年会議所が行ってきたということを、伝えきれていないことが多々あります。
その時代にある問題解決に取り組む私たちの活動の意義や魅力を広く伝えることができれば、青年会議所に対する理解が深まり、私たちの価値もさらに高まります。
対外的に適切な発信方法を用い、素早く正確に、そして魅力的に私たちの活動を伝えることで、この組織の活動の原動力となる賛同者と協力者を増やしていきます。
【JCハーモニー委員会】
青年会議所の活動を通じて、ともに考え、ともに行動することで生まれる仲間との信頼関係は、私たちの青年会議所活動をさらに活性化させ、運動の成果をより大きなものとします。
しかし、新型コロナウイルスの影響などもあり、活動の機会は減少してしまい、近年の例会や事業の出席率も減少傾向となっています。特定の会員が積極的に活動することで、一定の成果を残すことはできてはいますが、一部の会員だけで活動することの限界も見え始めています。
コロナ禍を乗り越え、組織を活性化させるためには、まずは「ともに考え、ともに活動する機会」を増やすことが必要だと考えます。そのために会員の活動状況を把握し、その上で会員が参加し成果を共有できる事業を構築することで、会員を巻き込みながら協同できる事業を実行していきます。
【青少年育成委員会】
大人だけではなく、子どもたちが協力して地域の問題に取り組み、解決していくことができるようになれば、未来の「山の都」はきっと明るいものとなります。未来のこの地域を担う青少年たちには、自分で考え責任を持って行動する「主体性」、仲間とともに取り組む「協調性」を育んでいきたいと思います。
しかしながら、青少年を取り巻く環境は人への思いやりと協調性を養う場面、そして、他人とともに行動することで芽生える責任感を持たせる機会が少なくなっているようにも感じられます。共働き世帯の増加や核家族化、コロナ禍における他人との接触の減少、一人で完結する遊び方の増加など様々な背景はありますが、これは青少年の健全な育成や地域の未来のために解決すべき課題の一つであり、私たち大人も課題解決のための機会を積極的に提供すべきであると考えます。
地域が抱える問題には、青少年が携わり解決していけるものも多く存在します。青少年が自分たちの地域のために何ができるのかを考え、実際に行動を起こし、まちづくりに参画できる機会を提供します。そして、この体験を通じ、青少年の主体性を高め、地域を担う人材へと育成することで、持続可能な「山の都」の形成につなげていきます。
【総務例会委員会】
会議や委員会の運営は、青年会議所活動の基礎であります。そして、私たちがより良い事業展開に向けて議論するためには、効率的かつ効果的な運営をしていかなければなりません。しかしながら、形だけの省力化、諸事に対する妥協は、むしろ成果や組織力の質の低下を招きます。会議の場を滞りなくしていくために、組織全体を見渡し、日常業務を徹底的に取り組んでいくことこそが、青年会議所における効率的かつ効果的な運営につながるものであると考えます。
また、青年会議所活動の成果共有の場として例会が存在します。IT技術の進歩によりオンラインでの出席が可能になるなど、例会への参加自体は容易になってきていますが、会員の例会に対する意識というものが希薄になっているようにも感じられます。
例会は、各委員会がそれぞれの使命に取り組んできた集大成であり、その中には多くの機会があります。だからこそ、例会への出席は会員の義務であると定められているのです。しかし、出席しないことには、その意義も機会も体感することができません。会員一人ひとりに「例会には出席するべき」という意識付けをする必要があります。
会員活動の基礎を整え、当たり前を当たり前とすることで、一般社団法人甲府青年会議所の基盤をしっかりと支えていきます。
【組織力向上会議】
私たちの組織は、「明るい豊かな社会」の実現を目指して活動しています。その目標を達成するために、複数の委員会や会議体に分かれており、会員はその中に所属し、それぞれの担いを果たすために活動しています。それぞれの担いを果たすことは重要ですが、青年会議所活動において、より大きな成果を得るためには、自分たちの委員会や会議体の活動だけに参加するのではなく、他の委員会や会議体の仲間たちとの連携や協力が欠かせません。仲間たちがどのような課題に取り組んでいるのかを把握し、お互いに助け合うことが必要になります。また、私たちの運動は会員同士が議論することでより良いものとなるはずです。
会議体・委員会の垣根を越えて協力し合い、同じ想いをもって議論することで、より良い組織、より良い事業の構築をしていきます。
【地域連携会議】
一般社団法人甲府青年会議所は、これまで地域に対し多くの事業を展開してきました。諸先輩方が行なってきた活動の中には、青年会議所の手を離れて現在も続いている事業も多くあり、その結果として、現在の様々な団体との協力関係が存在しています。地域を担う一員として、地域から頼られるJCとして、本年度も様々な団体と連携しながら「山の都」を盛り立てていきます。
また、私たちが住むこの地域では様々な団体が活動していますが、その中には人口減少や構成員の高齢化もあいまって、主催者単体での事業継続に課題が見え始めているものがあります。この地域の良いところを広く共有するために、ここに住み暮らす人たちと交流する事業を私たちが中心となって開催していきます。そして、多くの行政や企業など他の団体と協力、連携することができるよう事業を推し進め、地域の問題を解決していきます。
【総合計画検証会議】
2021年度に「総合計画2021」が策定されました。1年目となる2022年度においては、地域創造、会員育成、組織発展の3つのビジョンの定着、事業計画立案・遂行・検証基準の遵守に注力していきます。
「総合計画2021」が示した目指すべき「山の都」の姿である「郷土への誇りとにぎわいに満ちた、ヒト・モノ・ココロの要衝都市」の実現に向けて、私たちの活動全体に対する検証を行っていきます。
【最後に】
青年会議所の活動は40歳で終わりを迎えます。
限られた時間の中だからこそ、貪欲に学び、強く仲間を想い、全力で地域のために活動しなければなりません。強い想いを一つにして、ともに歩むことで、より大きな成果をこの地域に響かせていくことができるはずです。
仲間とともに。
このまちを動かす想いをひとつに。その鼓動を打ち鳴らそう。